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オプションとは?

 オプションとは、ある商品をあらかじめ決められた期間にあらかじめ決められた価格で売ったり、買ったりすることができる権利のことです。買う権利のことをコール・オプション、売る権利のことをプット・オプションといいます。と、一般的な教科書には書いてあります。

 なんて、さっぱり分からないかもしれません。私も何となくしか分かってはいません。でもここでは、難しいことはどうでもいいことにしましょう。オプションにはコールとプットがあり、そして、値段がついて、買ったり、売ったりできるものだと単純に理解してください。「値段がついて、いつでも買ったり、売ったりできるもの」ということでは、株も、その辺の店で売られている野菜や果物もみんな同じです。

 「ある商品を売ったり買ったりする権利」ということで、対象となる商品にもいろいろあっていいわけです。この対象となる商品のことを「原資産」といいます。国内では、ここで解説する大阪証券取引所で取引が行われている、日経225先物のオプション取引のみが盛んです。他にも、商品先物のオプション、個別株のオプション、FXのオプションなどもあるようです。ただし、取引量が極端に少なかったり、オプションの仕組みが違ったりして(アメリカンタイプとヨーロピアンタイプ)他のものは事実上、使うことができません。

コールとプットの違い

 オプションの値段のことをプレミアム価格といいます。日経平均が値上がりすると、コールのプレミアム価格は値上がりし、日経平均が値下がりすると、コールのプレミアム価格は値下がりします。日経平均と同じ動きになるのがコールオプションです。コールは買う権利だからです。

 一方、日経平均が値上がりするとプットのプレミアム価格は値下がりし、日経平均が値下がりすると、プットのプレミアム価格は値上がりします。日経平均とは逆の動きをするのがプットオプションです。プットは売る権利だからです。

限月について

 2008年8月物とか、2008年9月物というように、限月というものがあります。

 2008年8月物のオプションは、2008年8月の代2金曜日まで保有することができます。ただし、売買ができるのはその前の日までで、第2金曜日には、自動決済されます。逆にいうと、売買して保有したオプションは、いつまでも保有することはできず、途中で反対買売を行って、自分で決済するか、そうでなければ、決められた期日には、自動決済されてしまうということです。この期日のことを「SQ日」といいます。

 日経225オプションの場合、直近4つの月の限月は必ず存在します。たとえば、2008年8月物がいちばん手前の限月であるときには、9月物、10月物、11月物は、必ずあり、売買が可能です。

権利行使価格について

 13,000円のコールとか、12,750円のプットというように、250円刻みでオプションが存在します。13,000円のコールというのは、13,000円で日経平均先物を買う権利、12,750円のプットというのは、日経平均先物を12,750円で売る権利です。

 さらに前項の限月との組み合わせでいうと、2008年8月物の13,000円のコールとか、2008年9月限の12,750円のプットというように、オプションがあるわけです。

値段は1,000倍で計算

 日経225オプションの最低値段は1円、20円までは1円刻み、それ以上は5円刻みで値がついています。実際に買売するには、その1,000倍のお金が必要です。当然儲けや損失も、1,000倍ということになります。

 10円の値段のオプションを買うには、その1,000倍の10,000円のお金が必要です。10円で買ったオプションが15円になったところで売り決済すれば、5円幅の1,000倍の5,000円の儲けということになります。

オプションの値段の構成要素

 オプションの値段(プレミアム)というのは、本質的価値プラス時間的価値とで構成されます。例えば、日経平均先物の値段が、ちょうど10,000円だったとしましょう。このとき、権利行使価格が10,000円のコールオプションも、プットオプションも、本質的価値は0円です。しかし、権利行使価格が10,000円のコールオプションも、プットオプションも、決して0円ではなく、少なくとも何十円かの値段がついています。これが時間的価値です。さらに、同じ権利行使価格が10,000円のオプションでも、限月が先になるほど、高い値段がついています。先の限月になるほど、SQ日までの時間が長いわけで、時間的価値が高くなっているわけです。時間的価値は、時間の経過とともに減少し、これがオプションの大きな特徴の一つです。

 日経平均先物がちょうど10,000円のとき、行使価格9,500円のコールオプションの値段は、500円(50万円)の本質的価値プラス時間的価値、行使価格9,000円のコールオプションの値段は、1,000円(100万円)の本質的価値プラス時間的価値となり、行使価格10,00円とそれ以上の行使価格のコールオプションは、すべて時間的価値のみの値段がついているということになります。
 一方、日経平均先物がちょうど10,000円のとき、行使価格10,500円のプットオプションの値段は、500円(50万円)の本質的価値プラス時間的価値、行使価格11,000円のプットオプションの値段は、1,000円(100万円)の本質的価値プラス時間的価値となり、行使価格10,000円未満のプットオプションは、すべて時間的価値のみの値段がついているということになります。

オプションの値動きの特徴1(時間的価値の値下がりがある)

 オプションの値段の構成要素の一つである時間的価値というのは、時間が経過すればするほど価値が下がり、SQ日には、すべて0になります。もし日経平均の値が変わらなければ、プットオプションの価値も、コールオプションの価値も、時間的価値の値下がり分だけ、毎日少しずつ値下がりすることになります。この特徴を生かして、日経平均が一定の範囲内での値動きをすることを前提とし、オプションの売り建てを行い、オプションの値下がり益を得ることが可能となります。

オプションの値動きの特徴2(レバレッジ効果がある)

 日経平均が短期間に大きく動くときには、オプションの値は、ものすごく大きく動くことになります。特に時間的価値しか有していないオプションが、本質的危価値をも有するようになるようなときには、それが顕著となり、ときには短期間で数十倍にもなるようなこともあります。そうでなくとも、日経平均が1週間内に500円動けば、2倍、3倍になることはごく普通です。ただし、ある一定の限月の行使価格のオプションに限られ、宛が外れれば、すぐに2分の1、3分の1の値になってしまうということでもあります。

売り建てるということについて

 投資の初心者や、そうでなくとも株の現物買いのみで投資を行ってきた方々は、売り建てを行うことに戸惑いを感じられる方が多いようです。「安く買って、高く売って儲ける。」これは、ごく日常一般的な商行為であり、誰にでもよく分かる話です。「高く売り建てて、安く買い決済して儲ける」というのもあります。

 例えば、今日は100円のリンゴが、明日50円に値下がりすることが分かっていたらどうでしょう。誰かからその100円のリンゴを借りて、今日100円で別の人に売ってしまえばいいのです。手元には100円の現金があることになります。そして、リンゴが50円に値下がりしたところで、今度は、50円でそのリンゴを買って、貸してくれた人に返せばいいわけです。手元には、差し引き50円の現金が残り、儲けとなります。これが先に売り建てして儲ける方法です。しかし、値下がりすると思っていたリンゴが、150円に値上がりしてしまったらどうでしょう。どうしてもその時点で、リンゴを貸してくれた人に返さなければならないとしたら、別に50円を足して、リンゴを買い戻さなければなりません。50円の損失です。

オプションの売り建て

 日経225のオプション取引でも、売り建てが可能です。オプションの売り建てを行って、利益を得る方法も、前項の説明と全く同じです。売り建てを行うと、そのプレミアムを受け取ることができます。15円の値段のついているオプションを売り建てれば、取引口座に15,000円が入金されます。それが10円に値下がりしたところで買決済すれば5,000円の儲け、SQ日まで保有して、0円で自動決済できれば、15,000円の儲けです。逆に20円に値上がりしたところで損切決済すれば、5,000円の損失となります。

 前項の話と少し違う点は、リンゴや株を先に売り建てるには、他人から借りなければなりませんが、オプションの場合は権利の売買ですから、自分が売り建てたい値段で買ってくれる相手さえいれば、いつでも売り建てることができます。

売り建てのリスクについて

 買い建てというのは、買ったものの値段が0円になってしまい、最初に支払ったお金がなくなってしまう以上の損失はあり得ません(リスク限定)が、理屈上、ものの値段の上限というのはありませんから、売り建てのリスクは無限ということになってしまいます。

 日経225オプションの売り建ての場合でも、日経平均が大きく動かなければ、時間的価値の値下がりで利益を得やすい反面、日経平均が自分の想定以上に大きく動いてしまったときには、大きな損失となってしまう可能性があります。

売り建てを行うには証拠金が必要

 オプションの売り建てを行うには、証拠金(保証金)が必要です。将来、売り建てたオプションが値上がりした際、きちんと買い戻しができる資金を持っているということを担保しなければならないわけです。

 では、オプションの売り建てを行うには、いったい幾らの証拠金が必要か。これはケースバイケースで違ってきます。プレミアム価格によっても異なりますし、同じプレミアム価格のオプションでも、コールかプッとかによって異なりますし、限月が違えばまた異なります。また証拠金というのは、他のオプションの買い建てや売り建て、先物や先物ミニの買い建てや売り建てとの複合計算で決められますから、単読で新規に売り建てる場合、既に他の建て玉を持っていて、追加で売り建てる場合、それぞれ違った金額となります。普通は、オプションを売り建てる場合の必要証拠金を調べる、シミュレーション機能が提供されていますから、事前に調べることができます。

 同じポジションを継続する場合でも、日経平均の値が変化すれば必要証拠金も変化しますし、たとえ日経平均が同じだとしても、オプションのプレミアム値は変化しますから、証拠金も変化します。

 さらにオプションの売り建てに必要な証拠金というのは、大阪証券取引所が定めるスパン証拠金や、ボラティリティ・スキャンレンジを基に、各証券会社の計算規則に基づいて算出されます。このスパン証拠金等は、毎週見直しが行われ、日経平均が大きな動きをしているときには高く、おとなしい動きのときには安く見直しが行われます。

 したがってオプションの売り建てを行っている際には、日々の日経平均の変化でどう必要証拠金が変化するか、スパン証拠金がどう見直されるかなど、常に必要証拠金の変化に気を配る必要があります。


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